決算審査特別委員会 事前勉強会資料

図解 令和7年度決算の構造整理

全体骨格・財源構造・執行状況・財務指標の可視化と確認点
本資料は、令和7年度決算書および行政実績報告書の内容を構造的に把握し、委員会審査における全体像の共有を図るための図解まとめです。 会計区分、歳入財源の内訳、執行残(繰越・不用額)の構造、ストック指標の推移を中立的なデータに基づき整理しています。

7つの会計区分と審査の進め方

太良町の決算は、一般会計のほかに特別会計が2本、公営企業会計が4本の計7会計で構成されています。 審査日程や参照する資料体系が異なるため、全体の配置を押さえておくことが重要です。

審査2日目・3日目
一般会計(支出済額 77.7億円)
町税や地方交付税等を主財源とし、総務・民生・土木・教育など町の基本行政全般を担う中核会計。
審査1日目
特別会計(2会計/計14.6億円)
国民健康保険・後期高齢者医療。特定の保険料等を財源として特定の保険給付を行う会計。(介護保険は杵藤広域組合所管)
審査1日目
公営企業会計(4会計/独立採算)
水道事業、簡易水道事業、漁業集落排水事業、町立太良病院事業。使用料等の事業収益を基本として運営。
📌 委員会実務メモ(資料の切り替え)
行政実績報告書がカバーするのは「一般会計」および「特別会計2本」までです。企業会計4本は決算書の後半に独立した財務諸表(損益計算書・貸借対照表等)として綴じられています。1日目の企業会計審査では決算書本体への持ち替えが必要となります。
🔍 全7会計の決算収支・業務量と資料体系の詳しい解説(クリックで開閉)

1. 全7会計の決算収支一覧(令和7年度)

太良町の全会計の決算規模と収支状況です(企業会計は損益ベース)。

会計区分会計名歳入・収益(千円)歳出・費用(千円)実質収支・純損益
一般会計一般会計7,969,6797,769,961+199,718
特別会計後期高齢者医療172,747170,674+2,073
国民健康保険1,424,2691,290,735+133,534
公営企業会計水道事業48,05640,868+8,057
簡易水道事業48,14291,412△43,271(営業損)
漁業集落排水事業6,15645,018△38,862(営業損)
町立太良病院事業920,6851,087,388△166,703(医業損)

※企業会計の簡易水道・漁業集落排水・太良病院は、営業段階の損失を「一般会計補助金」および「長期前受金戻入」で補填して最終損益を黒字化しています。

2. 介護保険事業が町の会計にない理由(広域連合)

介護保険事業は「杵藤地区広域市町村圏組合」が保険者となって広域で運営しているため、太良町独自の特別会計としては計上されません。町の負担分は一般会計(民生費・老人福祉総務費)から組合への負担金(令和7年度:3億5,549万円)として支出されます。

3. 一般会計から他会計への繰出金(計 4億3,792万円)

一般会計歳出の5.6%が、特別会計・企業会計への繰出・補助に充てられています。

  • 町立太良病院:2億1,488万円(収益勘定1.58億+資本勘定5,661万)
  • 国民健康保険特会:8,745万円(保険給付費等の財源補填)
  • 後期高齢者医療特会:6,336万円(保険基盤安定負担金等)
  • 漁業集落排水事業:4,436万円(使用料収入616万円の約7.2倍の繰出)
  • 簡易水道事業:2,786万円(配水管工事・施設整備補助等)
  • 水道事業:0円(独立採算を維持)

歳入構造と自主財源比率(財政力指数 0.260)

一般会計の歳入総額(79.7億円)における財源内訳です。地方財政計画に基づき、自主財源の不足分を国県等の依存財源が補完する構造となっています。

一般会計 歳入財源の構成比(決算額ベース)
自主財源 26%
依存財源 74%
自主財源(約26%):町税(約10億円台)、諸収入、繰入金など
依存財源(約74%):地方交付税(約25億円)、国県支出金、町債、ふるさと納税など

太良町の財政力指数は 0.260(前年0.26)となっており、県内町村平均(0.51)や類似団体平均(0.27)と比較しても、標準的な行政需要を賄うための自前の税源が限られている現状を示しています。 国の財政保障制度(普通交付税)や特定目的補助金を適正に活用しつつ、自主財源の確保やふるさと納税等の寄附金の有効活用が重要な論点となります。

🔍 歳入科目別の内訳・前年比較と財源保障制度の詳しい解説(クリックで開閉)

1. 一般会計 歳入主要科目の内訳と前年比較

歳入総額 79億6,968万円(前年比 +6億0,961万円、+8.3%)の主要科目構成です。

科目名区分R7決算額(千円)構成比前年比増減(千円)
地方交付税依存財源2,913,03136.6%+112,857
国庫支出金依存財源1,107,56913.9%+235,268
繰入金(基金等)自主財源978,35512.3%+30,704
町税自主財源806,09710.1%+32,499
寄附金(ふるさと納税等)依存財源611,3777.7%+102,439
県支出金依存財源453,3715.7%△32,490
町債(地方債)依存財源353,3004.4%+151,319
その他(譲与税・手数料・諸収入等)746,5799.3%+77,013
合計7,969,679100.0%+609,609

2. 歳入増加(+6.1億円)の要因分析

  • 国庫支出金の増加(+2.35億円):保育施設整備交付金補助金や物価高騰対応給付金など、特定の政策事業に伴う国費の受け入れ増。
  • 町債発行の増加(+1.51億円):過疎対策事業債が3億0,280万円(起債全体の85.7%)を占め、将来の元利償還金の70%が後年度の地方交付税で手当てされる有利な起債を活用。
  • 地方交付税の増加(+1.13億円):物価高騰対策や人件費増などに伴う地方財政計画の増額を反映。
  • ふるさと納税寄附金の増加(+1.02億円):ポータルサイト追加等による寄附受入増。
  • 町税の伸び(+3,250万円):固定資産税・町民税等の微増にとどまり、全体の伸び(+6.1億)の大半は国・県等の外部財源によるものです。

3. 財政力指数(0.260)と地方交付税の保障機能

財政力指数は「基準財政収入額 ÷ 基準財政需要額」の過去3カ年平均です。太良町の場合、標準的な行政に必要な経費(需要額)の約26%しか自前の税収等でまかなえません。 残りの約74%は、全国どこでも一定水準の行政サービスを受けられるよう国が地方交付税(普通交付税 約25億円)として交付することで、自治体間の財力格差が是正されています。

予算現額と執行実績:執行残(9.0億円)の要因

令和7年度の一般会計歳出では、予算現額(86.7億円)に対し支出済額が77.7億円となり、約9.0億円(予算比 10.4%)の執行残が生じています。

予算現額(当初+補正後)
議決を経た歳出予算の総枠
86億 7,437 万円
支出済額(決算額)
年度内に実際に執行された額(前年比 +8.1%)
77億 6,996 万円
執行残(予算未執行額)
翌年度繰越額:4億 4,936 万円(資材調達・工期設定・国県補助事業の進捗等による繰越)
不用額:4億 5,505 万円(入札差金・執行効率化・事業計画精算等)
9億 0,441 万円
📌 歳入未達との連動メカニズム
歳入側でも予算現額に対して収入済額が約7.9億円下回っていますが、これは国県支出金や町債などの特定財源が「事業実績に基づく後払い・精算交付」であるためです。事業が繰越や不用となると、連動して歳入も未収となるため、歳出の進捗状況と歳入の動向は一体として把握する必要があります。
🔍 執行残(9.0億円)の詳しい要因・内訳と歳入連動の解説(クリックで開閉)

1. 翌年度繰越(4億4,936万円)の主要科目と発生要因

「事業に着手しているが、年度内に完了せず翌年度に持ち越した」額です。

款・目事業概要繰越額(千円)繰越率
商工費・商工業振興費地域共通商品券換金、商工業振興補助等172,32871%
農林水産業費・特産地づくり推進費さが園芸888整備支援補助金等121,30972%
土木費・道路維持費橋梁維持補修、道路メンテナンス等84,71719%
農林水産業費・農地費農地整備・農道舗装等35,16822%
災害復旧費・道路橋梁等復旧費道路・橋梁災害復旧工事31,81065%
  • 国・県補助事業とのスケジュール連動:農林水産業や道路整備などの大型ハード事業は、国県の交付決定が夏以降にずれ込むことが多く、自治体単独で工事発注・着工の前倒しが難しい構造があります。
  • 入札環境と資材・工期の調整:建設業の人手不足や資材高騰に伴い、入札不調・不落の発生や、工期設定が年度末を跨ぐケースが増加しています。
  • 点検の着眼点:単年度の繰越であれば工期上のやむを得ない事情と読めますが、「複数年連続で同じ目が繰り越していないか」が事業計画の妥当性を測るポイントとなります。

2. 不用額(4億5,505万円)の主要科目と発生要因

「予算を計上したが、最終的に使わずに終了した」額です。

款・目不用の背景不用額(千円)不用率
総務費・ふるさと応援寄附金基金費当初10.01億→3億減額補正(現額7.0億)後、実績6.1億90,02212.9%
総務費・企画財政管理費予備的枠・見込み計上(4年累計で約4億円不用)84,64913.9%
土木費・道路維持費入札差金(執行残)、部分補修の見送り等37,8168.3%
民生費・心身障害者福祉総務費給付実績と申請見込みの差額等22,5235.4%
衛生費・予防費受診率約5割に対し対象者全員ベースで積算(毎年度同規模不用)15,28624.6%
商工費・観光費観光誘客補助等の執行残12,44111.4%
  • 入札差金(執行差金):予定価格に対して落札額が低く収まった節約分。
  • 受診・申請実績と積算の乖離:予防費のように「住民全員分の権利」として積算するが、実際の受診率が5割にとどまることによる構造的な差額。
  • 年度末(3月補正)での減額整理の運用:事業の中止や執行残が判明した段階で、年度末補正で減額せずそのまま不用額として処理されている実務(過去の答弁でも「本来3月補正で落としておくべきだった」との言及あり)。

3. 歳入未達(△7億8,971万円)との表裏一体の連動

歳入側で予算現額を下回った主な内訳は以下の通りです:

歳入科目予算現額(千円)収入済額(千円)差額(千円)
国庫支出金1,380,7741,107,569△273,204
繰入金(基金等)1,236,404978,355△258,048
県支出金569,182453,371△115,811
寄附金(ふるさと納税等)701,402611,377△90,024
町債(地方債)401,100353,300△47,800
合計(その他含む)△789,706

地方自治体の国県補助事業(特定財源)は、「事業を実施して実績報告を出さないとお金が入らない(後払い・精算交付)」仕組みが原則です。 したがって、歳出側で工事が繰り越されたり(4.5億)、不用になったり(4.5億)すると、対応する国の補助金や町債も連動して未収になります。 「税収が集まらなかった」のではなく、「事業が年度内に動かなかった結果として特定財源が入らなかった」という関係にあります。

4. 委員会審議での実務的な確認ポイント

  • 繰越事業の年次計画:商工業振興費(1.72億)や特産地づくり(1.21億)など、予算の7割以上が繰り越された事業の今年度内の完了見通し。
  • 毎年度生じる不用額の積算適正化:予防費(毎年1,500万〜2,200万円不用)や企画財政管理費など、毎年度同規模の不用が出ている項目の積算規模の点検。
  • 特定財源と歳出執行残の突合:どの事業の繰越・不用がどの国県支出金の減に対応しているか、連動対照の確認。

ストック指標の推移:地方債残高と基金の活用

年度ごとの収支(フロー)だけでなく、資産・負債(ストック)の健全性を中長期的な視点から確認することが求められます。

基金現在高(町の貯金)
65億 0,470 万円
財政調整基金・減債基金・特定目的基金等の合計。R3年度(71.9億円)から4年間で約6.9億円の減少推移。
地方債現在高(町の借金)
40億 1,636 万円
一般会計分。R4年度(47.0億円)から着実に縮減傾向。(企業会計を含む全会計合計では 56億 0,636 万円、町民1人あたり約73.5万円)

今年度の実質単年度収支は △2億 0,041 万円となっており、2年連続の赤字収支です。 公債費抑制により借金残高を圧縮しつつも、財源調整として財政調整基金から約2.0億円の取り崩しを行っており、基金の取り崩しペースと将来の投資需要(公共施設更新等)とのバランスを点検する局面に入っています。

🔍 基金別の残高増減・地方債の会計別内訳と実質収支の詳しい解説(クリックで開閉)

1. 主な基金の現在高と取崩・積立状況(実績報告書 p.38)

一般会計が保有する基金(町の貯金)の総額は 65億0,470万円(前年度末比 △2億4,564万円)です。

基金名R6年度末残高R7積立額R7取崩額R7年度末残高
財政調整基金1,533,12382,000200,0001,415,123
減債基金(借金返済用)1,519,3772,0572,5001,518,934
ふるさと応援寄附金基金1,357,241609,977693,5111,273,707
公共施設整備基金861,9499180862,867
地域づくり事業基金574,6264641,500573,590
下水道等事業基金346,79130041,861305,230
その他(山林・福祉・スポーツ等)556,22934,66636,650554,245
合計(千円)6,750,336730,382976,0226,504,696
  • 4年間の推移:R3年度末 71億9,462万円 → R7年度末 65億0,470万円(△6億8,992万円の純減)。
  • 財政調整基金の動向:年度間の財源不足を補う財調基金は、前年度の1.2億円取り崩しに続き、R7年度も2.0億円を取り崩して収支を補填しています。

2. 地方債現在高の会計別内訳(全会計計 56億0,636万円)

太良町のすべての借金(一般会計債+公営企業債)の残高一覧です。

会計名R6年度末残高R7発行額R7元金償還額R7年度末残高
一般会計4,187,824353,300524,7614,016,363
町立太良病院事業1,246,88713,30076,2501,183,937
簡易水道事業221,94535,30011,465245,780
漁業集落排水事業103,0725,20017,12691,146
水道事業71,73702,59969,138
総合計(千円)5,831,465407,100632,2015,606,364
  • 簡易水道の純増:全会計の中で簡易水道事業のみが発行(3,530万)が償還(1,147万)を上回り、残高が2,384万円増加しています(管路更新投資の開始)。
  • 町民1人あたりの負担:人口7,632人に対して全会計で約73.5万円の地方債残高となります。

3. 実質単年度収支(△2億0,041万円)の読み解き

決算書の「形式収支(歳入−歳出=1.99億円)」や「実質収支(翌年度繰越財源を控除=7,999万円)」は表面上黒字ですが、 前年度の実質収支との差額から「財政調整基金への積立(8,200万)」を加え、「基金取崩額(2.00億)」を差し引いて真の単年度収支を計算すると、 △2億0,041万円の実質赤字となります(前年度 △1億1,754万円に続き2年連続赤字)。 地方債を圧縮する一方で、貯金(基金)を取り崩して収支を合わせる構造が続いています。

財政構造の弾力性:経常収支比率 92.6%

地方自治体の財政構造がどの程度弾力性を保っているかを示す経常収支比率の現状です。

令和7年度 経常収支比率 92.6% (前年 92.0%)
義務的経費・経常的経費(人件費・扶助費・公債費等):92.6% 臨時的・裁量的経費枠:7.4%

経常収支比率は、毎年度経常的に収入される一般財源のうち、人件費・扶助費・公債費などの固定的な経費に充当された割合を示します。 太良町は 92.6% と高止まりしており、投資的事業や新規政策に充当できる一般財源の余力が 7.4% に限られていることを意味します。歳出の効率化と財源創出が引き続き求められる水準です。

🔍 経常収支比率の計算構造・義務的経費の内訳と他団体比較(クリックで開閉)

1. 経常収支比率の算定構造

地方自治体の財政構造の弾力性を測る最も代表的な指標です。

経常収支比率 = 経常的経費に充当された一般財源 ÷ 経常一般財源総額 × 100 = 92.6%
  • 分子(経常的経費):人件費、扶助費(社会保障給付)、公債費(借金返済)など、毎年度削ることができない固定的な経費。
  • 分母(経常一般財源):町税、普通交付税、地方譲与税など、使途が特定されず毎年度経常的に入ってくる収入。
  • 意味:92.6%ということは、毎年度決まって入る一般財源のうち、92.6%が固定費の支払いに固定化されており、町独自の新規事業や臨時的投資に使える余力はわずか 7.4% に限られていることを示します。

2. 義務的経費(人件費・扶助費・公債費)の推移

性質区分R4決算(千円)R7決算(千円)4年増減率増減の主な要因
人件費系経費1,064,4861,261,205+18.5%会計年度任用職員制度(勤勉手当支給等)および給与改定
扶助費(社会保障)447,128595,866+33.3%障害福祉サービス給付費、児童手当、高齢者福祉給付の増
公債費(元利償還)538,214540,632+0.4%実質公債費比率は 6.5% → 6.8% へ微増傾向
(参考)普通建設事業費970,043616,772△36.4%工事請負費等のハコモノ投資は縮減傾向

公共事業(工事請負費)が縮減する一方で、人件費と社会保障給付(扶助費)が急増しており、固定費の比率を押し上げています。

3. 佐賀県内町村平均および全国類似団体との比較

区分経常収支比率実質公債費比率財政力指数評価・見方
太良町(R7)92.6%6.8%0.260固定費が高止まりし裁量余力が限定的
太良町(R6)92.0%6.5%0.2601年間で0.6ポイント悪化
佐賀県内町村平均90.4%7.9%0.510県平均より2.2ポイント硬直的
全国類似団体(過疎町村)88.4%9.3%0.270類似町村平均より4.2ポイント高い水準

太良町は類似団体や県内町村平均と比較しても経常収支比率が高く、一度大きな災害や突発的な財政需要が発生した場合に、一般財源からの弾力的な支出が難しい体質となっています。 ふるさと納税や国県特定補助金、過疎債等の有利な起債を戦略的に獲得・配分し、義務的経費を適正規模に管理することが求められます。

ストックとフローで読み解く「決算の深層」

決算書は「1年間でいくら入って、いくら出たか(フロー)」を記録しますが、自治体の真の体力と持続可能性は「何が蓄積され、何が削られているか(ストック)」を見なければ分かりません。 太良町の決算は、すべての土台である**「人口・地域の基盤」**、町民生活を支える**「社会資本・インフラ」**、そしてその裏付けとなる**「財政の資産と負債」**が密接に連動して動いています。

PEOPLE(すべての土台)
人口・地域の基盤
  • 総人口(町の基礎体力)7,632 人
  • 75歳以上人口比率24.8%(約4人に1人)
  • 小・中学生の総数478 人(小320・中158)
  • 簡水 給水人口の変動年 △90 人ペース
  • 人口動態(毎年のフロー)自然減・社会減が継続
INFRA(生活を支える現物)
社会資本・インフラ
  • 簡易水道 管路総延長約 75 km
  • 耐用年数超過管路(簡水)約 12 km
  • 耐用年数超過管路(上水)約 7.5 km
  • 有収率(料金になる水)簡水 68.2% / 水道 80.3%
  • 公共施設・橋梁等の状況更新・修繕期が順次到来
FINANCE(財政の裏付け)
財政資産と将来負担
  • 基金現在高(貯金)65.0 億円(4年で▲6.9億)
  • 地方債現在高(借金・全会計)56.1 億円(縮減傾向)
  • 町民1人あたり地方債約 73.5 万円
  • 実質単年度収支(真のフロー)△2.00 億円(2年連続赤字)
  • 経常収支比率(固定費率)92.6%(固定費高止まり)

① 人口基盤の縮小 → インフラの「1人あたり維持コスト」が跳ね上がる

人口や給水世帯(人口基盤)が減少しても、道路や水道管(モノのストック)の総延長は自動的には短くなりません。 その結果、配水量の31.8%が料金にならない簡易水道や、区域内人口468人に対し年間4,436万円(1人あたり年9.5万円)の一般会計繰出金を投入する漁業集落排水のように、 **「人口減少に伴いインフラの1人あたり維持管理コストが急激に跳ね上がる構造」**が生じています。

② 世代バランスの変化(高齢化) → 経常固定費(扶助費+33.3%)が将来投資を締め出す

人口の約4人に1人(24.8%)が75歳以上となる中、一般会計の社会保障扶助費は4年で**33.3%増**、人件費は**18.5%増**となりました。 毎年の「流れて消える経常固定費」が一般財源の92.6%を占めるため、将来のインフラ更新やまちづくりに回せる普通建設事業費(工事請負費)が**36.4%削減**され、投資余力が著しく制約されています。

③ インフラと福祉の維持費用 → 財政ストック(基金)の取り崩しへ波及

人やインフラの構造的赤字を埋めるため、一般会計から太良病院・特別会計・下水道等へ年間**4.4億円(歳出の5.6%)**が繰り出されています。 この持ち出しを支えるため、財政調整基金から2.0億円を取り崩すなど、**「最終的に財政ストック(基金)を取り崩して帳尻を合わせている」**のが決算の実態です(実質単年度収支 △2.00億円)。

🔍 人口動態とインフラ・財政の3重連動分析と審議の問い(クリックで開閉)

1. 太良町における「人口基盤・インフラ・財政」の相互連動表

構造の階層指標・実数値決算書上の表れ方(フロー)将来的な影響と課題
① 人口・地域の基盤 総人口 7,632人
75歳以上 24.8%
給水人口年90人減
・町税の伸び悩み(+3,250万のみ)
・扶助費の急増(4年で+33.3%)
・水道利用料の減収
課税ベースの縮小と交付税算定額の減少。社会保障関係経費のさらなる増加。
② 社会資本・インフラ 簡水管路 75km
(老朽管 12km)
上水老朽管 7.5km
・工事請負費の縮減(▲36.4%)
・維持補修費の高止まり
・企業会計営業損失
人口減に合わせたインフラの再編・集約(ダウンサイジング)が進まないと維持不能に。
③ 財政資産と負債 基金 65.0億円
(4年で▲6.9億)
地方債 56.1億円
・財政調整基金取崩 2.0億円
・実質単年度収支 △2.0億円
・他会計繰出 4.4億円
借金は減るが貯金も減少。将来の大規模改修ピーク時に財源が枯渇するリスク。

2. 人口減少下における「インフラのダウンサイジング(適正規模化)」の課題

  • 人口減少とインフラ維持の非対称性:人口が半分になっても、水道管や道路の長さを半分にすることは容易ではありません。これが地方財政の最も困難な構造的課題です。
  • 「修繕の先送り」は隠れた負債:工事請負費を削れば単年度の決算は黒字に見えますが、老朽化した水道管や道路の更新を先送りにしているだけであり、実質的には「将来世代への現物負債のつけ回し」となります。
  • 施設規模の見直し:過去の議会答弁でも「長期的な計画を基に下水処理場の施設規模を下げていく計画が必要」と言及されているように、人口規模に見合った施設再編に着手できるかが問われます。

3. 委員会審議で深めるべき「3つの本質的な問い」

  • 問い①(人口減前提のインフラ計画):「給水人口や利用者の減少傾向が続く中で、水道・下水道・公共施設の規模を将来の人口規模・地域の現況に合わせて縮小・集約していく中長期計画はあるか?」
  • 問い②(隠れたインフラ負債の把握):「地方債(借金)の縮減を評価する一方で、耐用年数を超過した水道管(計19.5km)や橋梁修繕など、今後必ず発生する更新投資の総額と年次平準化計画はどうなっているか?」
  • 問い③(縮小耐性のある財政設計):「人口減少により交付税や町税の自然減が見込まれる中、固定費(92.6%)を抑制し、基金の取り崩しに頼らない『人口減少に耐えうる財政構造』への移行シナリオをどう描いているか?」

決算審査特別委員会における3つの着眼点

以上の財務構造を踏まえ、委員会において確認・議論を深めるべき論点を3点に要約します。

① 執行残(繰越・不用額)の精査

約9.0億円に及ぶ執行残について、入札環境や工期設定、資材高騰などの客観的要因を把握し、次年度事業計画への反映を確認する。

② ストックと単年度収支の均衡

地方債縮減の取り組みを評価しつつ、基金取り崩し(△2.0億円)が続く中での中長期的な財政運営方針と施設更新需要の整合性を検証する。

③ 経常経費の抑制と投資余力の確保

経常収支比率92.6%を踏まえ、社会保障関係費や維持管理経費の推移を見極め、町単独の新規施策を支える財源の持続性を確認する。